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海外のシーシャ事情~その2~

2020/1/10

 

異国情緒あふれるミステリアスな雰囲気で香りと煙を楽しむシーシャ。日本人にはなかった新しい喫煙文化として、都市部を中心に楽しめる店が増えてきました。今回は、インド、アジア、エジプト、欧米のシーシャ事情をご紹介します。

 

シーシャの名称

 

 

日本では水タバコのことをすべて「シーシャ」と呼んでいますが、シーシャ(shisha sheesha)という呼び名はエジプトとその周辺諸国で使われていることばです。ペルシャ語でガラスを指す「シーシェ」がその語源と言われており、水タバコの喫煙には昔からガラスの器が使われていたことが分かります。

 

水タバコは各地の呼び方もさまざまで、発祥の地といわれるペルシャ(現在のイラン)では、水タバコのことを「ガリヤーン」と呼び、トルコでは「ナルギレ」、インドやパキスタンでは「フッカー」など、その土地ごとに異なる呼称があります。英語では「フッカー hookah」や「ウォーターパイプ water pipe」、または水たばこを吸うときの音を模して「ハブルバブル hubble bubble」などと呼ばれています。

 

欧米におけるシーシャは、イスラム諸国の人々の流入後、徐々に人気を集めるようになり、その影響を受けて近年は日本でも親しまれるようになりました。現在では東京都内では50店舗以上あると言われ、大阪や名古屋などの大きな都市部にもシーシャが楽しめる店が増えてきました。フレーバーによって値段は異なりますが、800円~1,500円で1回およそ1時間ほどシーシャが体験できます。

 

 

シーシャの楽しみ方

 

 

「そもそもシーシャってどうやって吸うの?」と思う方も少なくないでしょう。シーシャは日本ではまだ馴染みのない喫煙方法です。

 

シーシャのタバコ葉は主に「フレーバー」と呼ばれ、専用のタバコ葉にフルーツや花、ミントなどの味や香りを加え、はちみつや糖蜜などで固められています。

 

このフレーバーをポッドの上に据えて、穴をあけたアルミホイルをかぶせたあと、火をつけた炭で燻すと、フレーバーから煙が出てきます。この煙がポッド下の水をコポコポとくぐり、しっかり冷やされた煙をパイプを通して吸って楽しみます。

 

一服する時間はおよそ1時間。ソファーに深く腰かけたり、胡坐でくつろいで座ったまま、炭とフレーバーの燃える音と、コポコポと煙が水をくぐる音を聞きながら、ゆっくり煙を楽しみ、リラックスします。

 

ひと口吸うと顔が隠れるほどの煙が巻きあがりますが、不思議なことにタバコのような煙たさは少なく、いわゆるタバコ感はほとんどありません。タバコのように肺喫煙するのではなく、パイプや葉巻のように吸った煙を鼻に回す口腔喫煙で楽しむのが一般的です。シーシャ店の店長によれば、喫煙習慣のない人でも吸えることが珍しくないそうです。

 

シーシャ最大の魅力は、そのフレーバーの豊富さです。タバコやパイプにはないフレッシュな味と香りが楽しめます。アップル、オレンジ、キウイ、パイナップルなどのフルーツ系が主に人気で、クルミやピスタチオなどのナッツ系、コニャックやピナコラーダなどのカクテル系、ミントやバニラ、カルダモンなどのハーブ系など、およそ1,000円~2,000円で様々なフレーバーが日本国内でも手に入ります。50種類以上の味と香りが楽しめるシーシャ店も少なくありません。

 

 

世界のシーシャ事情

 

エジプト

 

 

エジプトでは17世紀頃にはじめてもたらされたシーシャですが、今ではどこのカフェでも楽しめる嗜好品のひとつ。値段は8~10Eポンドで、日本円では60円~80円くらいの相場で、首都カイロやピラミッドそばの都市ルクソールなど、どこの街でもシーシャが楽しめます。ですがエジプトでは観光客と見るやぼったくり価格を提示してくる店員が後を絶ちませんので、注意が必要です。

 

エジプトのカフェは、外資系のおしゃれなカフェから、河原にパラソルと椅子を出しただけの野趣あふれるカフェまで千差万別ですが、訪れておもしろいのは現地の人々が集まるカフェでしょう。日が暮れる夕方から人が増え始め、だいたい23時くらいまでお茶とシーシャを手におしゃべりを楽しんでいます。

 

もともとエジプトのシーシャはオスマン・トルコ時代に輸入された文化です。葉タバコを吸う文化はありましたが、暑気に熱い煙を吸うのが嫌で、当時のエジプト人たちはクールスモーキングができるトルコのシーシャにあこがれていました。

 

そんな中、果物のジャムや蜂蜜と地元の葉タバコを混ぜて練ってみたところ、水タバコとして美味しく吸えることがわかり、コーヒーやお茶と同じく嗜むようになったと言われています。また、タバコの煙が苦手な人でもフレーバーつきのシーシャなら美味しく吸えるとして、この吸い方が中東からインド・トルコへと爆発的に広がっていったのです。

 

インド

 

 

インドでシーシャが吸われはじめたのは17世紀のこと。先述のとおり、ココナッツの殻にストローを指し、ココナッツジュースで煙を冷やして吸い始めたのが最初です。インドではシーシャのことを「フッカー hookah」と呼びますが、これはヒンディー語でココナッツの殻を指すことばで、インドがイギリスの植民地になって紅茶とともに水タバコが輸出されるようになったため、いまでも英語で「フッカー hookah」といえば水タバコのことを指します。

 

インドではレストランやカフェなど、屋内は禁煙のところが多いのですが、シーシャを提供する店は多く、店の屋上やテラスなどで嗜むことができます。デリーではシーシャ1台が500ルピー(約900円)しますが、コーラ缶1本が30ルピー(約60円)、マルボロ1箱が80ルピー(約200円)ほどなので、価格は少し高めの印象です。

 

レストランでシーシャを頼むと、60cm以上はありそうな巨大なパイプが運ばれてきます。吸い口のホースも2~3本つなげられるようになっており、友人たちと一緒に1つのポッドをシェアするのが一般的な吸い方です。しかし不思議なのが、食事の最中に煙をモクモクすること。カレーを食べながらチャイティー代わりにシーシャを呑む姿を見かけることも珍しくありません。

 

その他のアジアの地域

 

 

タイやバングラデシュ、フィリピン、ラオスなど、シーシャが広まっていたアジアの国々ですが、2010年代に入り、規制の波にさらされるようになりました。

 

タイは特に禁煙化・嫌煙人口の増加が激しく、軍事政権下の2014年には電子タバコ・水タバコの輸入・使用が一切禁止されました。電子タバコは国外からの持ち込みも禁止されており、旅行客でも入管でもれなく没収されます。ポイ捨てや密輸などタバコに関する罰則を犯すと、10万バーツ(約35万円)の罰金か、1年以上の懲役刑が課せられます。

 

首都バンコクは中東からの観光客も多く、シーシャを出す店は多かったのですが、大規模な規制を受けたあと、違法なままアングラで提供する店が増えています。もはやタイはシーシャを安心・安全に楽しめる国ではなくなってしまいました。

 

フィリピンは首都マニラやリゾート地のセブ島などでシーシャを出すカフェやレストランがあります。値段は120ペソ(約500円)前後からあり、1台のシーシャを数人でシェアしながら楽しめます。

 

しかしフィリピンの奥地では、いまだにマリファナ等の麻薬を水タバコで吸う人が後を絶たず、麻薬産業の撲滅を公約に掲げるドゥテルテ大統領の就任以来、その罰則は強化されています。カフェやバーで提供されるシーシャは法的に問題のない普通の水タバコですが、町場で吸う人からシーシャを勧められる場合、違法な麻薬成分を含んだ煙を吸わされるおそれがあるので注意が必要です。

 

アジアでは他に、バングラデシュやラオスなどでシーシャを出す店があります。

 

ヨーロッパ

 

 

ヨーロッパではイスラム圏の移民流入とともに、シーシャが味わえる店が増えました。中でもポーランドとドイツ、スペインはEU圏でも喫煙習慣が根強く、およそ8ユーロ(約1,000円)~10ユーロ(約1,300円)ほどで1回シーシャが提供されています。

 

ドイツでは首都ベルリンの移民の多い地区、特にトルコ移民の多いクロイツケルンなどにシーシャの店が集中しています。レストランやカフェなどの屋内は禁煙のところが多いのですが、シーシャは別物という考えらしく、どこの店もモクモク甘い煙が充満しています。

 

ポーランドでもシーシャは人気が高く、若いカップルがシーシャの煙で遊ぶ姿をカフェでよく見かけます。ポーランドの特産品である手吹きガラスを使ったハンドメイドのシーシャパイプを製造する高級メーカー「wookah」の製品も高い評価を受けており、世界各国に輸出されています。

 

ロンドンも大都市らしくシーシャの店はあるのですが、この度ちょっと変わった店がオープンしました。客も店員も全裸でビールやシーシャが楽しめる店がオープンしたというのです。意味がわかりませんが、フルモンティな気分で酒とシーシャをやりたい一定の客層のニーズに応えたのでしょう。

 

アメリカ

 

 

アメリカでは若者のシーシャ経験者が多く、学生の5人に1人がシーシャ経験者と言われています。西海岸やフロリダなどを除き、シーシャの店が多いわけではありませんが、ハフィントンポストの記事によると、主にホームパーティーなどでシーシャを回し呑みした経験が多いと報じられています。

 

それでもアメリカにはシーシャのフレーバー企業が多く、Fumari(フマリ)、Trifecta(トライフェクタ)、Social Smoke(ソーシャル・スモーク)、Eternal Smoke(エターナル・スモーク)など日本でもメーカーの正規代理店を通して入手可能なブランドがたくさんあります。

 

 

おわりに

 

 

シーシャ体験は時間がゆっくり流れるような、日々の緊張やストレスとは無縁の世界です。

 

自分で道具やフレーバーを揃えてはじめるのはとても敷居の高い喫煙方法ですが、日本でも体験できるバーやカフェが増えてきています。気になる方は、身近な場所にあるシーシャ・バーを訪ねて、その味わいを体験してみてください。

 

 

 

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